戦ぐ月

悠揚たる日常を渇仰す

「Iron, Blood, Snow & Mud」を購入

1ヶ月ほど前、PHALANX社のウォーゲーム「Iron, Blood, Snow & Mud」を小さなウォーゲーム屋で買いました。ようやくルールに目を通して、だいぶ興味が湧いてきたので、ファーストインプレッションだけ書き留めておきます。

本作は、バルバロッサ作戦から1944年に至るまでの独ソ戦を、1年3季節のタイムスケールで描く2人プレイ用ゲームです。ドイツ軍による猛烈な初期攻勢からソ連軍の反攻に至るまで、史実の推移を盤上に再現することがコンセプトになっています

ゲームボード(ハードマップ)

ルールはシンプルかつ抽象的で、チェスに見られるようなパズル的な思考が求められるゲームです。恐らくそのためか、同種のテーマを扱う他のゲームと比べると、プレイ時間は短め(60〜90分)です。

したがって本作は、史実を細部まで再現するヒストリカルシミュレーションゲームというより、歴史的背景を持つ戦略ゲームと位置づけるのが適切でしょう。

それを象徴するのが進軍ルールです。ユニットは隣接へクスへ進軍する他に「コンボイ」という特殊な移動が行えます。これは下の図を見てもらうのが早いのですが、味方ユニットが隣接した連鎖を通って縦深突破が行えます。

コンボイの例

河川などの障害物を除いて、コンボイで通過可能なへクス数には制限がありません。そして、連鎖の最後の味方ユニットに隣接するへクスへ進軍します。これがコンボイです。これだけでもワクワクしませんか? 僕はしました😆😆😆

戦車による電撃戦(ブリッツ)、交戦からの離脱、戦闘、退却、要塞、パルチザン、補給、ソ連軍の増援、艦隊と航空支援、そして天候(降雪や泥濘)等々、一通り東部戦線らしいルールは備えられています。

そしてこの「スターリンミープル」が最高ですね!! このコマの命名は僕ではなくて、ルールブックにもきちんと "Stalin Meeple" と書かれています。これは勝利条件やゲームの動向に関わる重要な存在です(なおヒトラーミープルはありません)。

モスクワに鎮座するスターリンミープル

まだプレイどころかコマすら抜いていないので、ゲームとしての評価は控えますが、東部戦線テーマと簡潔な構造に加え、コンポーネントの質感にとても好感を持ちました。実戦での手応えは、プレイ後にあらためて書きます。

てつりょー! と海鹿島

今週のお題「アニメ」

アニメ「てつりょー!meet with 鉄道むすめ」の第2話を配信で見ていたところ「海鹿島駅」が登場しました。

海鹿島と書いて「あしかじま」と読みます。千葉県銚子市を走る銚子電鉄の駅のひとつで、関東最東端の駅なんだそうです。僕は海鹿島に行ったことも、これまで特別な縁があったわけでもなかったので、つい先日までまったく知らない駅と地名でした。

この駅名を知ったのはわずか数日前のことで、それは「限界ニュータウン探訪記」でよく知られた吉川祐介氏のYouTube動画ででした。

僕は吉川氏の大ファンで、彼がYouTubeで公開している動画はすべて見ていますし、theLetter のニュースレターも購読しており、もちろん著書の3冊はすべて購入して読んでいます。

www.youtube.com

この動画では、銚子市の海鹿島にかつて存在した「銚子保健別荘地」の歴史が語られていました。大正時代、実業家の武田辰之助氏がこの地で別荘地の開発を進めましたが、売れ行きは振るわず、事業は戦前のうちに消えてしまい、現在は当時の別荘が1戸も残っていないとのことでした。吉川氏は、古い新聞広告や区画図、航空写真などを手がかりに、その歴史を掘り起こしています。

その海鹿島が「てつりょー! 」の画面に再び現れたときはちょっと驚きました。全く別の作品で、続けざまに同じ場所を見ることになるとは思ってもいなかったからです。

一方は大正時代の別荘地開発を探る歴史探訪の動画、もう一方は鉄道同好会のメンバーが駅を巡るアニメです。内容も目的も異なり、もちろん両者に特別なつながりはありません。

この偶然のおかげで「海鹿島」は、私にとって少し特別な意味を持つ場所になりました。いつか銚子を訪れて海鹿島駅に降り立ったとき、この不思議な巡り合わせを懐かしく思い出すに違いありません。

柿と神

秋たけなわですね。

近所の畑に実ってた柿

ところで柿の学名は「Diospyros kaki (ディオスピロス・カキ)」といいます。これは、ギリシャ語と日本語を組み合わせた言葉です。

「Diospyros」はギリシャ語で「神の (Dios/ゼウスの、神の) 穀物・食べ物 (pyros)」を意味します。一方の「kaki」は、日本語の「柿」をそのまま用いた名です。これらを合わせて「神の果実・柿」とか、やたら大げさに訳されることがあります。

この情報はウィキペディア日本語版にも載っているため、ちょっとした豆知識としてなんとなく知ってはいました。しかし、柿の写真を撮っている最中に、そういえば「柿」がなぜギリシャ神話の神と結びついたのか、その理由をよく知らないことに気づき、少し調べてみることにしました。


この学名は、江戸時代に日本を訪れたスウェーデンの植物学者、カール・ツンベルクによって名付けられました (異説あり)。彼は長崎の出島で日本の植物を採集して研究し、帰国後に著書「日本植物誌」でヨーロッパへ紹介しました。

kotobank.jp

※「一」のツンベルクの方です。

当時、柿の分類と命名において、既存の属名「Diospyros」の下位分類に、日本語名「kaki」が採用されました。この分類手続きの結果、ギリシャ語と日本語を組み合わせた学名が正式に登録され、現在も国際標準として用いられています。

ようするに、柿が神の名にふさわしい果実だったとかそういうドラマチックな話ではなくて、機械的に分類された結果そうなっただけのことみたいです。「Diospyros」は日本語で「カキノキ属」ですから、ここに属する植物は、ぜーんぶ神の食べ物というわけです。

ja.wikipedia.org

VLC media player で一時停止/再生をすると映像が固まる

備忘録として。

VLC media player (V3.0.24) で動画を1.5倍速や2倍速で再生しているとき、一時停止後に再生すると、音声は流れるのに映像が停止したままになる現象が起こるようになりました。

一時停止後の再生再開で必ずこうなるわけではありませんが、けっこうな頻度でこの不具合に見舞われます。ただなぜか、等速再生時にはほとんど起こりません。

時間ツールバーや左右矢印キーでシークしても映像は固まったままです。VLC を終了して動画を再生しなおし、シーク位置を元に戻せば問題なく再生されますので、ファイル自体に問題はなさそうです。

当初は、愛用している Pause Click plugin for VLC (動画再生の一時停止と再生を、画面クリックで切り替えられる超便利なプラグイン) の不具合を疑ったのですが、このプラグインを無効にして、VLC media player 内蔵のボタン⏸やホットキー(スペースキー)で一時停止/再生をしても、この現象は起こりました。


ネットで検索したところ、同じ現象で困っている人たちが何年も前からいたようで、それに関する Reddit のスレッドがいくつも見つかり、それで解決方法がわかりました。

簡単に言うと「ハードウェアアクセラレーションのデコードを無効にする」です。具体的な設定手順は以下です。

  1. VLC のメニューバーから「ツール」→「設定」を開きます。
  2. 「シンプルな設定」のまま「入力/コーデック」を選択します。
  3. 「ハードウェアアクセラレーションによるデコード」の設定を、プルダウンから「無効」を選択して変更します。
  4. 「保存」ボタンをクリックして、VLCを再起動します。

僕の環境ではこれで不具合が解消されました。恐らくですが、そこそこの性能を持つ CPU が搭載された PC であれば、この設定で多少負荷が増えたとしても、実用上はまず問題が起こらないと思います。

他にも、映像出力方式を変更したり、ファイルキャッシュの値を増やす方法も Reddit で提案されていましたけれども、一度に複数の設定を変更すると、根本的な原因の特定が難しくなりそうなので、しばらくこの設定で使ってみることにします。

紫禁・御猫房~紫禁城猫警備室~ 感想

図らずも、なぜかアニメブログみたいになってきていますが…

今回は秋アニメ「紫禁・御猫房~紫禁城猫警備室~」について書きます。10/10(土)に第1〜4話の一挙放送があったのですが、都合によりリアタイできず、後日に配信で視聴しました。

「紫禁・御猫房~紫禁城猫警備室~」は15世紀の明朝を舞台に、秘密組織「御猫房」の猫たちが、国宝に宿る記憶「物華」を守るために戦う、中国で制作されたアクションファンタジーアニメです。

本作では、実在する中国の歴史や文化財がファンタジーの物語に取り入れられています。例えば、第1話に登場する「闘彩三秋杯」は、明の成化年間に作られ、現在も故宮博物院に所蔵されている貴重な陶磁器です。

また、「成化帝」や「万貴妃」、さらに後に弘治帝となる朱祐樘(作中ではまだ単に『太子』となっています)も、実在した歴史上の人物です。ついでにいうと「御猫房」も、明朝の紫禁城にあった部署だったりします。

補足: ちなみに、史実の「御猫房」は「ごびょうぼう」と読みますが、日本語吹き替え版では「おんみゃおぼう」とルビが振られ、そう読まれていました。

これらのどれもが、本作の奥行きを深める重要な要素になると思うのですが、作中では登場人物や文化的遺物の名称はテロップで示されるだけで、歴史的背景の説明がありませんでした。

そのため、中国の歴史にそれほど詳しくない大半の日本人視聴者にとって、キャラ同士の関係性や、文化的遺物が持つ意義を理解するのは難しかったのではないでしょうか。

本作を観た人たちの反応をSNSなどで調べてみると、圧倒的多数がその映像美や質の高いアクションシーンを高く評価していました。逆に言えば、それ以外の点に注目している人はほとんど見当たらなかったということです。

ということで、ぜひこの機会に、本作の背景となっている中国の歴史や文化遺産に目を向けてみてください。きっと、これまでとは全く違った本作の楽しみ方を発見できるはずです。

日曜アニソン - FLARE (2019)

♪ FLARE / Void_Chords feat.LIO (2019)
「ありふれた職業で世界最強」オープニング主題歌

www.youtube.com

毎週日曜日は、今でもよく聴いてるアニソンやゲーソンをピックアップしてお茶を濁すことにしましょうか… (投稿タイミングが月曜未明になることもありますけれど)

白玲戦

YouTubeで竜王戦をのんびり観戦していたら、X のタイムラインにビッグニュースが流れてきました。

第6期白玲戦にて、西山朋佳白玲が福間香奈女流四冠を下し、4勝1敗で防衛を果たしました。これで通算5期を達成し、永世称号である「クイーン白玲」の資格と、女性初の「棋士」となる権利を獲得しました。これは将棋界にとって歴史を大きく塗り替える快挙です。

第6期白玲戦 七番勝負第5局

将棋トリビアとオーテ将棋道場 (YouTube) より

西山女流四冠の歩みは、決して平坦ではなかったことを私たち将棋ファンは知っています。奨励会三段リーグでは、通常なら昇段できる14勝4敗の成績を挙げながらも次点で涙をのみました。2024年には棋士編入試験にも挑戦しましたが、あと1勝まで迫りながら2勝3敗で敗れています。あのとき新型コロナウイルスに感染した不運がなければ… と今でも考えてしまいます。

それでも彼女は女流棋士戦でタイトルを重ね、ついには制度が定めた高い壁を自らの力で乗り越えてみせたのです。

一方で、「クイーン白玲」を獲得した女流棋士に棋士となる権利を与えるこの制度は、従来の棋士になるための道とは大きく異なるため、資格取得の基準や公平性について今でも疑問の声があるのも事実です。

しかし、この制度への議論と、西山女流四冠が積み重ねてきた実績への評価は分けて考えるべきです。何より、三段リーグで次点を取ったことのある西山女流四冠の実力は、誰しもが認めるところではありませんか。

この権利行使について、現時点でご本人は慎重な姿勢を示しています。規定に基づき2週間以内に判断することになりますが、どのような決断をされても、僕はその選択を尊重し、これからも応援し続けたいです。

なお、僕の個人的な気持ちは以下の通りです。

ともあれ、まずは白玲位の防衛おめでとうございます。